先日、へいさんぼうにいってから ずっとそんなことばかり考えてる。
かすみがうら周辺には、かなり変わったお祭りがたくさんあることがわかった。
そして、それらは地域の鹿島神社で行われていることが多い。
なんでなのかなあ?と私なりに考えたというお話です。長くなりそうなのでひとまず人形道祖神の話をば。
はじまりはダイダラボッチ
井関の大人形(ダイダラボッチ)
仕事でたまたま行った石岡に、すごく興味深いものがあった。
井関の大人形 とか、ダイダラボッチと呼ばれるものだ。それをみた時のことは詳しくはこちらから。
藁でできたボディに、顔の周りには杉の木が埋め込まれてもじゃもじゃになってて、
顔はカレンダーの裏(!)に描かれているという。※長者峰はベニヤ板
江戸時代から続く慣わしで、8/15に作り替えて毎年同じ場所に奉納されている。
置いてある場所は、地域の辻にあたる場所で そこから悪いもの(疫病など)が入らないように見張ってくれている。
大きさも私と同じかもっと大きいので1.5メートル以上はありそう。
男と女がいて、藁でしっかり立派な男根も作られる。
女性の方は、近くに金精様が祀られている。
そんなのが、ざっくりとしたダイダラボッチのプロフィール。
さて、調べるうちに似たようなものが各地にあることがわかった。
東北にいる仲間たち
福島のお人形様
福島の田村市周辺にもかなり似ているものがいるらしい。
こちらはお人形様と呼ばれていて、かなり大きい。
田村市のホームページにも詳しく載っている。
大きさ4メートルだってよ。でけえよ。
こっちは男女の区別はなさそうで、なぎなた、刀など武器を持っている。
そして通せんぼをしているポーズなのも特徴。
やはり江戸時代に、悪いものが入ってこないように作られたそう。
秋田の鹿島様
そして秋田にはなんと大量発生してることがわかった。
なんでだ秋田!!
こちらでは、鹿島様、しょうきさま、におうさま、どじんさま(道祖神様)、じぞうさま(!)など、呼び名も様々。
作りは福島のものと似ていて、武器を持っている。大きいものもあれば小さいものもいるそう。そして男性器を持つものも多いようだ。
ということは、石岡のダイダラボッチと福島のお人形様が混ざったような感じなのかしらん?
そして、こういうもの全般を 人形(ひとがた)道祖神と呼ぶこともわかった。
こちらのサイトがかわいいし、詳しい。本も何冊か出てるようだ。超気になる!
でね、気になるのはその名前。
鹿島様
これって茨城の鹿島神宮と何かしらの関係があるのかな?と思った。
一説によると、茨城を治めていた佐竹氏が秋田へ転封された時に 持ち込んだ信仰と言われているらしい。
出た!茨城!!
そうだよ。茨城は佐竹氏がめちゃめちゃ強くて いろんな城を破っては治めたという歴史がある。
秋田に移動しても、そりゃ信仰してる風習は向こうでもやるよね。
あくまで一説だけれど、茨城県民としてはアツい話だ。
と、いうことは このタイプの人形道祖神は 鹿島神宮の神様 武甕槌命を表してるのかも。
そしてやはりそんな説明もよく出てくる。
面白いなー。と思って、じゃあ茨城が本家だとしたら 県内に他にも似たような風習が無いのか気になってきた。
茨城の人形道祖神
大助(おおすけ)人形(鹿嶋、茨城県北部)
ちょっと形は違うのだが、やはり藁で作った人形で 大助人形というものがいるらしい。
そして、鹿島神宮の周りでも それを祀る風習があった。
キタキタキタ〜!!!
鹿嶋市ホームページより
人形送りという風習で、今はほぼ途絶えているようだが 村の境に立てていたそう。
それがこのコロナで2020年まさかの復活!
そして、鹿嶋のどきどきセンター(埋蔵文化財センター)では、なんとグッズも販売されている。
先日ちょっと行く機会があったので、思わず大助人形ストラップキットを買ってしまった。
前回のラジオ室の後、あみこさんと制作。
かわいく(?)出来た!笑
こちらの大助人形は、家内安全・悪魔祓いのために作られていて
稲藁でつくり、背中には米を入れたつとを背負わせ、魔除けの唐辛子も背負わせるらしい。
実際はお弁当と路銀を持たせていたよう。なるほど。
鹿嶋のは、顔は直接墨で描くようだ。
そしてこのような大助人形は県内では主に県北で見られる。
東海村、日立、常陸太田などでは 鹿島大助、お鹿島様などと呼ばれるらしい。
県北はどうやら素材もちょっと違うらしく、麦わらで作り、顔も紙に書いて貼り付けている。
顔を紙に書くのは、石岡のダイダラボッチと似ている。
え!今調べてたら、常陸太田では40〜50年途絶えていたものが コロナによって復活し 幼い頃の記憶を頼りに制作した…とある。
(茨城新聞の2020年7/27の記事)
そして、こちらは服を着ているタイプらしい。
以下茨城新聞より。
トウモロコシの葉で作った陣羽織を着せ、ナスの輪切りをつばにした篠竹の刀を差した。半紙に墨で描いた顔を付け、腹の中には兵糧のまんじゅうを入れて、高さ1メートルほどの武者姿が完成した。
トウモロコシの葉の陣羽織…。
そして腹には饅頭。
まんじゅうや、団子を入れて その後焼いて食べるという地域もあるようだ。(確か茨城の歴史で読んだ)
このように、地域によって多少の差はあるけれど 大助人形の信仰はコロナによって復活したりして なんとか現代まで残っている。
ちなみに県北は佐竹氏の居城がもともとあったりするので、信仰が強いのもなんだか頷ける。
つくばみらい市の辻人形
いろいろ調べているうちに、なんか記憶が蘇ってきた。
そういえば、つくばみらい在住の友人と会った時に 狐の嫁入りみたいな着物のイベントやりたいという話になり、そういう風習ってつくばみらい周辺にあるのかいな?と調べたことがあった。
その時に、期せずして検索結果に出てきたのが 辻人形。
県の無形文化財にも指定されている
「西丸山祈祷ばやし」の、祭事の際に作られているようで
古川交差点付近と、月読神社のあたりに飾られている。
地区の南端と北端を守っている。
ちなみに祈祷ばやしの時は、公民館近くの鹿島神社からお囃子の奉納が始まるらしい。鹿島神社キター!!
そして、人形には大杉神社のお札がついているそう。
調べてみたらあんば信仰から来ているらしい。
大杉神社というのは、稲敷市にある神社。茨城の東照宮(だっけ?)とも言われるくらい、彫刻が見事な 東照宮の陽明門みたいな門がある。
北にある月読神社は男の子の天狗、南の古川は女の子の天狗。
つくばみらいは利根川と小貝川があるので、水害も多く、不作と疫病に悩まされていた。
そこで、海難水難の神、大杉神社(あんばさま)にすがろうということで、健脚の男子たちが天狗の面を借りに行き、借りたお面で一軒一軒回ってお囃子とお札を配ったそうな。
うわー。大杉神社とつながったわ。
鉾田市 大杉様の天狗
これはごく最近、たまたま鉾田の生涯学習センター とくしゅくの杜に行った時のこと。
なんだか入り口入ってすぐに、気になる人形が。
これ…。ダイダラボッチに似てる!
っていうか鉾田にも居たのかよ!!
これはミニチュアだけど、実際は多分もっと大きくて 鉾田市 烟田(かまた)玄生(くろう・ほんと鉾田の地名読めない!)地区の山林にあるクヌギの木の前にあるらしい。
大杉様の天狗
とのこと。
毎年、2・5・8月に 大杉様の天狗祭りがあり その度に新しいものに作り変えているようだ。マメすぎる。年に3回も作るのかよ。
大杉神社には、願い天狗・かない天狗というのがいる。それと関係があるのかな。
まだまだ気になることだらけ。ちなみに、霞ヶ浦周辺のお囃子は、大杉神社がルーツのものが多いらしい。お囃子は全然わかんない世界だけど、ちょっと気になってきた。
茨城のこういう人形は、鹿島神社系と大杉神社系で分かれてるのかと思いきや、つくばみらいみたいに組み合わさってるものもあり、まだまだ謎が深い。
まとめ
・石岡のダイダラボッチ、福島のお人形様、秋田の鹿島様
この辺は同じ系統な気がする。
新潟にも生息していて、そちらはショウキ様らしい。
これらは、鹿島さま=タケミカヅチ なのかなと考えている。
・大助人形
千葉にも生息している。団子など食べ物を忍ばせているものが多い。(それを食べると無病息災)
お人形様系とは違って、どっしりというより細身のイメージ。大助人形は、鹿嶋の神様をお助けする存在と言われていて なので≠タケミカヅチかと思われる。タケミカヅチの家来??
以上二つは鹿島信仰がベースなのだが、
・大杉神社系統 があることが新たにわかった。
つくばみらいの辻人形、鉾田の大杉様の天狗
つくばみらいは、鹿島神社も関係してそうなので、ハイブリッドなタイプとみた。
面白いなあ。
大杉神社と鹿島神宮の関係についても調べてみたい。
このシリーズ、私の中でアツいのでまだまだ続きます。
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